ポレンティア不運の7着JRAの裁定は妥当だった

ポレンティア不運の7着JRAの裁定は妥当だった

JRAの裁定は妥当

レース映像では騎手同士の喧嘩に見える

他馬との激しい接触があったフラワーカップは、レース後しばらくは後味の悪いレースでした。直線で激しくショウナンハレルヤとぶつかり、何回も当たるので騎手がぶつけ合ったのではないかと思えるものでした。

もしそうなら騎手免許剥奪でもいいくらいのことだと思います。もちろん進路を取りに行くことで無理する場面は勝負の世界なのであると思いますが、今回は何回も当たったことで、まるで騎手同士の喧嘩に馬が使われたと見えました。

レースを振り返ると

ポレンティアは、スタートを普通に出てそのまま進みますが、外側に折り合いに専念するシーズンズギフトがいて、前にクリスティ、内にショウナンハレルヤと前と左右を囲まれる窮屈な隊形で向上面を進みます。

このときペースが安定しないのか前のクリスティに接近して、少し後ろに下がるなど、スムーズさに欠けながら進んでいきました。そして3コーナー手前の800標識辺りから下りから平坦に変わりますが、ここで極端にスローペースになりました。本来なら加速していく残り800~400のラップが、12.1-12.5と逆に遅くなっていきました。

この快ペースを演出したアブレイズはとても器用だと思いますが、ここで後続が一気に押し上げてきます。もしここが澱まず流れていれば外に出す選択をしたと思いますが、2着のレッドルレーヴにそのルートを上がられたので、内しか選択がなくなりました。

そして悲劇が起こります。直線入り口で、内のショウナンハレルヤが左にモタれ何回か当てられます。その後、外からクリスティが右にヨレて、ポレンティアに当たり、その反動でポレンティアが内のショウナンハレルヤに当たります。このときにショウナンハレルヤが大きくヨレて、足を止めてしまいます。ポレンティアも推進力がなくなります。

ポレンティアはそこから巻き返しを図りますが、一度弱まったスピードはなかなか戻らず、上がり37.2の脚で7着に終わりました。レース後は着順より馬体への影響がとても心配されました。

(JRA)

複数の馬のわずかな動きで接触

このJRAの裁定が発表されたときは、みんな耳を疑ったと思います。あれほど激しく何回も当たっていたにも関わらず、不可抗力のため制裁なしという裁定です。しかし、よくよくレース映像とパトロールビデオを見ると、JRAの裁定が妥当であることが分かります。

正面のパトロールビデオでは、ポレンティアの前が塞がっているように見えますが、前にいるのは勝ち馬のアブレイズで手応え抜群すから、実は前は開いています。ポレンティアが無理に進路を取りに行ったという見方は誤りです。

(JRA)

一方、ショウナンハレルヤの進路も開いていますので、無理にポレンティアの前に出る必要はありません。強いて言うなら、アブレイズが内ラチ沿いに来る可能性はありましたが、内の馬場は荒れていますから、その可能性は低いと思います。

(JRA)

アブレイズの手応えが良く垂れることはないと池添騎手も田辺騎手も分かっていたでしょうから、両馬とも進路は開いていて、無理に進路を奪いに行く必要はなかったという見方が正しいです。

なぜ何回も接触したのか

それにも関わらず、ショウナンハレルヤがポレンティアに当たったのは、左にヨレたものと思います。顔が左に向いていますから、右前の馬を嫌ったのかもしれません。田辺騎手も手綱を右に振って、左を向かないようにしています

でも、ショウナンハレルヤはまた左にヨレてポレンティアに当たります。その後、クリスティが外を上がってきたシーズンズギフトに驚いたのか右にヨレてポレンティアに当たり、その反動でポレンティアがショウナンハレルヤに当たり、ショウナンハレルヤが足を止めてしまいます。

こうしてよくよく見ると騎手がわざとぶつけたのではなく、複数の馬のわずかな動きで起こった不運といえます。しかも、見事にやられたからやり返したと見える順序でした。

騎手だからこそ性善説は通用する

騎手は、チームスポーツというより個人スポーツですが、陸上競技やスキー、スケートなどと異なり、馬に乗るスポーツです。当然他馬との接触は馬にダメージが出ます。その馬は馬主さんが可愛がり、牧場、育成、外厩、厩舎と多くの関係者が期待をかけて、時間をかけて送り出したのです。

その馬を喧嘩の道具にすることを良しとする、わざとする、故意にする騎手はいないと信じます。 もちろん勝負なのでギリギリを攻めると思いますが、当たると分かっていて突っ込む騎手はいないと信じたいです。 当たらないと思ったけど当たってしまった、抜けると思ったけど当たってしまったというのと、故意に当てるのとはまったく別です。

今回の件で、もう池添騎手にも田辺騎手にも愛馬に乗ってほしくないと思いましたが、こうして改めて確かめた結果、両騎手ともわざとではないことが分かりました。池添騎手には続けて乗ってほしいですし、田辺騎手とはまだ縁がありませんが、機会があれば乗ってほしいと思います。

今回は、アブレイズの快ペースにまんまと嵌められてしまって外に出す機会がなかったレースと見ます。あと、田辺騎手にもうまく内を制されましたし、クリスティの手応えが悪くて外側の壁になってしまいました。前回のようにスタートで少し出遅れて、レッドルレーヴとの位置が反対であれば、外を差してきて勝ち負けしていたと思います。これも勝負の運でしょうか。

馬体に影響がなく良かったです。あとは精神的な面でしょうか。当たっても怯まない肝っ玉姉さんなので、大丈夫とは思いますが。

近況報告

2020.03.23 レース結果

3/20(金)中山11R フラワーカップ(GⅢ)〔芝1,800m・14頭〕7着[6人気]

五分のスタートから、道中は先団グループで競馬をします。そのままの位置で直線へ向くと、他馬との接触があるなど力を出し切れず、2度目の重賞挑戦は7着で終えています。

田中博康調教師「まずまずスタートは切れましたし、道中は良いところに付けてくれたと思います。しかし、3コーナーあたりから内にモタれてしまった上に、直線ではショウナンハレルヤとの接触がありました。かなり激しく何度も当てられましたし、あの不利さえ無ければ掲示板まではあったと思うだけに、スムーズな競馬が出来なかったことが悔やまれます。騎乗した池添騎手は『道中はリズム良く運べたと思いますが、1コーナーあたりからタイトな競馬になっていたので、少しストレスを感じながら走っていたのかもしれません。その影響で、3コーナー付近では苦しくてモタれていたのかなと思います。何より直線に入ったところで何度もぶつけられる不利があり、ジリジリと脚を使うこの馬にとって、加速するところで1度ブレーキを掛ける形になるとさすがに厳しいですね。不完全燃焼な競馬になってしまい、申し訳ございませんでした』と話していました。消耗戦に加えて接触がありましたので、レース後の馬体が心配でしたが、今のところ目立った外傷等はありません。しかし、筋肉系に疲労が溜まっていると思いますし、トレセンに戻ってからよく確認しておきます」

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